LIFESについて
スポーツとまちの
未来を発見する
コミュニケーションを
人間が生み出しているまちとスポーツ、支え合っている両者
わたしたちは、人と語り合い、生きる姿をお互いに見合いながら、この「まち」らしさをつくり出しています。そして,スポーツをする人たち、観る人たち、支える人たちは、スポーツを語り合い、スポーツと関わる姿を見せ合いながら、このまちにしかないスポーツ文化を生み出しています。まちも、スポーツも、わたしたちのコミュニケーションする関係(つまり社会)が構成しているものなのです。そして、まちとスポーツは、互いに支え合っています。
シティマラソンの開催は、まちなかを走るジョガーをたくさん生みました。
人が走る姿は肉体のエネルギーと大会に向けた心の高揚を感じさせ、単なる通路としての歩道をスポーツ空間に変えます。
プロ・スポーツのホームゲームに向かう同じ色のレプリカユニフォームを着た人の流れや、スタジアムやアリーナに集まった熱気は、まちをお祭り空間に変えます。また、プロ・スポーツは、市民や地元企業、行政機関に支えられていて、その精神的、経済的なつながりはまちに一体感と躍動感をもたらします。
日本やまちを代表する地元トップアスリートも同様です。彼ら彼女らは、わたしたちと同様に地域に暮らす(暮らしていた)人です。わたしたちとトップアスリートとの間の「まちの経験と時間を共有している」というつながりは、まちへの帰属意識や誇りを呼び起こしてくれます。
健康増進やトレーニング、大会への出場といった様々な目的で運動・スポーツ活動をするわたしたちは、必要な商品やサービスを消費しています。そして、運動やスポーツを促す商品・サービスの開発・販売には、運動・健康・医療に関わる研究、ものづくり、小売業、飲食業、サービス業といった様々な人たちが関わっています。運動・スポーツは、広く大きな経済のつながりを生んでいます。
コロナ禍はまちとスポーツを考える好機
ところが、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、まちも、スポーツも、その動きを止め、灯りが消えました。人々は自宅とオンライン空間で過ごすことを余儀なくされました。多くの人が、スポーツや友人との交流の機会を失い、寂しい経験をしました。すでに始まっている「ニューノーマル」な生活が今後も続くことも想像に難くありません。
しかし、わたしたちはこれまでの「ノーマル」を失う経験をしたからこそ、もっと深い部分で、広く共有されてきたスポーツやまちの「ノーマル」の中から、「取り戻すべきこと」と「変えるべきこと」を考えられるのではないでしょうか。
コロナ禍で「試合に出られない」という問題が浮き彫りになりました。しかし、平時から試合に出られない「補欠選手」はいたはずです。優勝という目標に一極集中する競技スポーツは、より多くの人の試合参加機会を保障できていなかったのではないでしょうか。
ひとつの種目だけに傾倒するスポーツライフは、大会や練習活動の中止の直撃を受けました。わたしたちは、スポーツの選択可能性を拡げておくことの大切さに気付いたのではないでしょうか。チームスポーツだけでなく個人スポーツも、屋内スポーツだけでなく屋外スポーツも、そして季節に合わせた様々なスポーツを、といった選択肢の多さは、スポーツライフを豊かにする可能性を拡げるでしょう。
人が集まることで楽しさが増すスポーツは、感染予防対策が求められるニューノーマルな世界でその価値をどのように維持できるでしょうか。チームの仲間との密接な関係の中でこそ楽しさや効果を感じることができた練習活動はどうすればいいでしょうか?不特定多数の人が集まるスタジアム・アリーナでのスポーツ観戦は?大規模なシティマラソン大会は?―――これらの問いに答えることは、スポーツと関連産業の大きなイノベーションにつながっているかもしれません。
また、以前は「eスポーツはスポーツか?」という議論がありましたが、コロナ禍において唯一開催できたのはeスポーツのイベントでした。多くのトップアスリートが、中止になった試合の代替としてeスポーツ大会に参加して楽しんでいる様子が世界中に配信されていました。
まちとスポーツのあり方を議論し、発見しよう
まちとスポーツは、わたしたち人間のコトバ(言語的なやり取り、行為の相互観察といった広い意味でのコミュニケーション)によって構成されるもので、互いに影響を及ぼし合いながら、互いを創り出しています。この考え方を社会構成主義といいます。
社会構成主義の立場に立てば、まちとスポーツの未来は、社会のあり方とそこでの生き方、スポーツのあり方を問い続けるわたしたちのコミュニケーションによって発見できると言えます。社会のあり方と生き方の問い直しはスポーツのあり方の問い直しを導き出すでしょうし、その逆もあり得ます。つまり、社会と生き方のあり方、スポーツのあり方は、どちらが議論のスタート地点になってもいいはずです。
人類(新人類)が文化(言語や行為規範など)を共有するコミュニティを創り出しておよそ20万年、古代ギリシャでスポーツが生まれて約3700年が経ちました。その間、人類は何度も新種のウィルスや自然災害の脅威に晒され、紛争や戦争を繰り返してきました。危機に直面するたび、人類はまちやスポーツの最期だと思ったことでしょう。しかし、社会は途切れることなく発展を続け、スポーツもまた発展し続けてきました。現在のコロナ禍でも「今までと同じ世界には戻れない」という言説が流れていますが、人類は(良い意味でも悪い意味でも)コロナ禍を忘れ、おそらく数年後には、まちとスポーツはこれまで以上の発展をし始めているはずです。
ただ、コロナ禍を乗り越えた先の発展は、目の前の危機をやり過ごすことでは見出せません。数年後、十数年後、100年後の未来を構想することが必要です。未来構想のヒントは、コロナ禍直前までわたしたちが思い描いていた未来像に、コロナ禍で学んだことを混ぜ合わせたものの中にあるはずです。
『LIFES』のミッション
まちとスポーツにこれまで以上の活気が戻ってきてほしいと多くの人が願っていることでしょう。今まさに、わたしたちは願いのコトバを集め、まちとスポーツの幸せな未来を構想するコミュニケーションを始めるべきスタート地点にいます。そんな時代に必要なメディアとは、まちとスポーツとそれらを構成する人たちの物語(事象)を理解し、多くの人たちと共有可能なコトバ(言語や映像)に再構成(編集)して、まちとスポーツの幸せなカタチを発見することを使命としなければいけないと考えます。
ここに、「まち」と「スポーツ」が交差するところに生まれる物語を丁寧にひろい上げ、そこから未来のまちとスポーツのあるべきカタチを発見するウェブメディア、『LIFES(ライフス)』の創刊を宣言します。
LIFES運営会社 合同会社SportsDrive社長
髙岡 敦史
運営会社
合同会社 Sports Drive
- 代表
- 髙岡 敦史
- 事業内容
- ●スポーツまちづくりコンサルティング事業
●スポーツまちづくりイベント企画・開催支援事業
●スポーツまちづくり調査研究事業
●スポーツまちづくり広報支援事業
●スポーツまちづくり人材育成事業
など
代表・記者紹介
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代表髙岡 敦史スポーツまちづくり会社・合同会社Sports Drive 社長 岡山大学大学院教育学研究科 准教授、博士(体育科学) スポーツ経営学を専門とする研究者であり、スポーツまちづくりの現場に多く参画している。近著に『スポーツまちづくりの教科書』(2019年、青弓社)。
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記者天津 雄一郎ネット編集者。記者時代はスポーツ取材が長く、陸上やフィギュアスケートなど五輪競技を中心に担当。趣味はランニング。マラソンはタイムよりもエイドステーションの食べ物にこだわる派。1981年生まれ。
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記者久万 真毅新聞記者。スポーツまちづくりをテーマにした連載取材班として、「2016年度ミズノ スポーツライター賞最優秀賞」を受賞。小学1年から大学卒業までは剣道、現在はシーカヤックやテレマークスキー、渓流釣りを嗜む。アウトドアスポーツを活用した地方の活性化に関心がある。1977年生まれ、倉敷市出身。
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記者DJ Snufkin記者、ライター、DJ、B-boy。競技としてのスポーツのほか、スポーツに関連するビジネスについても取材、発信する。高校でブレイクダンスに出会い、大学からDJとしても活動。HipHop文化を共有するBMXフリースタイルパークなどアーバンスポーツへの関心が高め。1987年生まれ、倉敷市出身。